京都議定書発効1年の実績と各国の取組み：環境制約·資源制約に対する超長期エネルギー技術ビジョン

摘要

経済産業省では，2005年3月に，わが国初となる「技術戦略マップ」を20分野で策定した．これは，新産業を創造してゆくために必要な技術目標や製品·サービスの需要を創造するための方策を示したものである．その後，エネルギー分野についても策定を行い，2005年10月に産業構造審議会研究開発小委員会にて審議を行った．「エネルギー分野技術戦略マップ」は2100年を見据え，将来の化石資源の制約や地球温暖化などの環境制約を克服するためにはどのような技術が必要かという視点で策定を行った．技術戦略マップの他の分野や個別技術のロードマップは，せいぜい2030年までを視点に策定されているのが多く見受けられるのに対し，今回，2100年を見据えた理由は，石油および天然ガスの生産ピーク後の社会も視野に入れること，大気中CO{sub}2濃度の変化は100年のスパンで考える必要があること，および大規模発電設備などインフラの更新も視野に入れながら持続可能なエネルギー需給構造を実現するために必要な技術を抽出するためである．今回の検討は，経済産業省資源エネルギー庁から（財）エネルギー総合工学研究所が委託を受け，「超長期エネルギー技術研究会·超長期エネルギー戦略研究会」（秋山守委員長）にてとりまとめを行った．