実用化迫る色素増感太陽電池：色素増感太陽電池の高効率化技術

摘要

色素増感太陽電池は，高温·高真空プロセスを使用しないことから，次世代太陽電池の有力な候補として，活発な研究開発が行われている．色素増感太陽電池のエネルギー変換効率に関しては，2001年，国際的な標準試験機関の一つであるNRELにおける測定結果として変換効率10.4％が報告されたが，10％以上の高い変換効率を再現することは非常に困難であった．その理由として，色素増感太陽電池の研究開発は，光化学，電気化学，合成化学の研究者を中心に開発が進められてきており，動作原理に関する物理的な理解が不足していた点があげられる．そこで，色素増感太陽電池の物理的な理解を深めつつ，変換効率を確実に向上させるための研究開発が求められている．本稿では，著者らによる色素増感太陽電池の等価回路モデルに関する研究や高効率化に向けた研究成果について紹介し，今後を展望する．