日射量および給湯負荷に応じた太陽熱利用電気温水器の運転方法に関する一検討

摘要

本研究は，EWHが設置された全電化住宅に集熱器（SC：Solar Collector）とEWHを組み合わせた太陽熱利用電気温水器を導入した際の消費電力削減効果およびCO_2削減効果について検討を行う．EWHは，安価な夜間電力の有効活用が望まれるが，夜間電力を利用できる時間と給湯を行う時間は一致しない場合がある．そのため事前に夜間電力を用いて十分な温度まで沸上げる運転方法が一般的である．しかしながら，太陽エネルギーは日中にのみ熱量が期待できるため，十分な日射量が得られる場合に事前に沸上げを行うと，EWHと日射量の両方によって過剰に加温されるため，必要以上に熱エネルギーが蓄えられることがある．これは熱損失の増加および集熱効率の低下を生じ，エネルギー浪費の原因となる．そこで，1日に得られる日射量予測データを用いることで適切な投入エネルギー量を決定し，経済的な運転を達成するための研究が行われている．しかしながら，これらの研究は給湯負荷を一定としており，負荷に応じた運転が考えられていない．給湯負荷は個人や住宅規模によって異なるため，負荷特性の把握が困難である．そこで，本研究はモンテカルロシミュレーシヨンを用いることで確率的に負荷特性を決定し，給湯負荷に応じた運転の有効性を検証する．さらに給湯負荷予測および日射量予測を利用した運転を組み合わせた運用方法の有効性を検証する．