ワイドギャップCIGS太陽電池の高効率化技術

摘要

CuInGaSe{sub}2 (CIGS)太陽電池では小面積で19.5％という高い変換効率が既に実現されているが，この効率は満足できるレベルにあるのだろうか．2005年の日本の太陽光発電の累積導入量は1.42GWであり，2010年導入量の目標値4.82GWに向けて着実に導入普及が進められている．しかし2010年の目標値である4.82GWは太陽光発電導入のほんの序章にすぎない．2005年に策定された太陽光発電ロードマップにおいては2030年太陽光発電累積導入量目標値は102 GW（総電力量の約10％），発電コスト目標値は7円／kWh（2（沿5年の約1/7）と設定されている．そして，そのような大量導入普及を可能にするために必要なCIGS太陽電池の効率は小面積セルで25％（2005年では19.5％），大面積モジュールで22％（2005年では14.3％）とされている．この目標効率はシリコンやGaAsなどの単結晶太陽電池に匹敵するものであり，CIGS太陽電池への期待が非常に大きいと共に革新的な高効率化技術の開発が求められている．本稿では，当研究チームでの高効率化への取り組みを中心にその成果を紹介する．