先進国型FTAの“本丸”

摘要

先進国間の新たな通商協定において注目される分野に「規制協力」がある。関税率や原産地規則のような、商品貿易の根幹をなすテーマとは一線を画するとはいえ、健康·安全、消費者保護、環境配慮といった領域は、さまざまな価値観が交錯するため、これまで各国·地域の裁量で規制·基準が設けられてきた。経済のグローバル化に伴って先進国間の価値観共有化が進む中、現行の規制·基準の在り方で良いのかという問題意識が国境の壁や官民の壁を乗り越える形で高まりつつある。また、国際的な規制調和が進むことで、先進国企業、とりわけ中小企業の検査·開発コスト削減に効果があるとの指摘もある。