潤滑系診断による設備機械の傾向管理の動向：振動法による設備診断

摘要

機械設備の突発的な故障停止は経済的損失や事故の原因になる。 突発故障を減らすための方法として予知保全がある。 予知保全で最も多く採用されている方法は状態基準保全（Condition Based Maintenance：以降CBMと称す）であり，振動や潤滑剤，熱画像などを監視して異常状態を事前に察知し，機械設備の故障停止を回避する手法である。本章では振動によるCBMをテーマに紹介する。 CBMを基本とする設備診断技術を採用して成功している企業もあるが，その成功した企業の数は日本の装置産業の企業総数に比べると極めて少ない。 設備診断技術の導入を計画している企業も多いが，なかなか導入に踏み切れないでいる企業も多い。 また，CBMを採用したが根付かずに失敗した企業もある。 国境を意識しないグローバルな経済競争時代に突入している現在，欧米並みの理論的な保全を目指さなければ日本の国際競争力が衰退することは明らかである。 振動法による設備診断の技術的な解説は豊田利夫著「回転機械診断の進め方」，「予知保全（CBM）の進め方」，井上紀明著「振動法による設備診断」，坂口良昌著「回転機械診断入門」などの専門的な解説書に任せ，本稿では，振動による設備診断を導入するために必要なハードルを飛び越すためのヒントを示すことを目指す。