RSA公開鍵暗号を用いたネットワーク制御系のセキュリティ強化

摘要

本稿では，制御システムのセキュリティ強化を目的とし，前述の三種の情報をすべて暗号化したまま演算が可能な暗号化制御則の概念を提案する．そして，研究の端緒として，一般的な公開鍵暗号の一つであるRSA暗号を制御システムのセキュリティに応用することを考える．特に，RSA暗号方式の場合にその準同型性から，比例制御に対する暗号化制御則か実現できることを示す．また，提案法の有用性を確認するため，RSA暗号を制御システムに適用した際の動作と秘匿性を，数値シミュレーション柱より検討する．なお，暗号化制御則の一般化，つまり，線形制御器や多項式で表わされる非線形補償器を対象とする暗号化制御則の実現は可能であるが，紙面の都合上，本稿では割愛する．文献10）で示すアイデアと同様であるので，一般化についての詳細は，同文献を参照されたい．