火山灰年代法，~(210)Pbおよび~(137)Cs法による過去200年の榛名湖の堆積速度の推定

摘要

榛名湖は群馬県の榛名山の頂上に位置し，周辺は小高い山に囲まれた小さなカルデラ湖である。湖への流人河川がなく，湖畔には旅館や土産店があるが，湖への大規模な人間活動による汚染は少ない（矢島ほか，1998；2001）。このために広域環境汚染や湖に由来する有機物の挙動を研究する場として適当と考え，著者69-76 らは長年使用してきた。これまでの研究では，榛名湖における有機物の生産と分解·堆積過程（小椋ほか，1985；落合ほか，1986；Kawamuraet al．，1987），植物プランクトンを起源とする腐植物質の化学的特徴（石渡·半谷，1965；Otsuki and Hanya，1967；山本ほか，1986），榛名湖コアの過去千数百年における有機物組成の変動（Ishiwatari et al.,1980），炭化水素汚染の変動（Uemura and Ishiwatari，1992），堆積以後の脂肪酸の変化過程（Kawamura and Ishiwatari，1985），湖起源の有機物の炭素，水素同位体組成の研究（Chikaraishi and Naraoka，2005；Chikaraishi et al.,2007）がある。