新しい高性能映像符号化技術“HEVC”

摘要

新しい国際標準方式“HEVC （High Efficiency Video Coding）”の映像符号化技術と，このHEVCの符号化性能を検証するために2012年度に試作開発したHDTV （High Definition TeleVision）解像度に対応したコーデックシステムについて述べる。HEVCは，H.264/AVC （Advanced Video Coding）の2倍の圧縮性能を目標に2010年に国際標準化の作業に着手し，2013年春の成立を目指して進められた。HEVCは，標準化作業の最初の段階からHDTVやHDTVを超える解像度（Ultra HDTV: UHDTV）を対象として技術検討が行われ，特に高解像度映像信号に対して高い符号化性能が得られる符号化ツールとして，規格に採用されている。標準化作業で作成·使用されているソフトウェアモデルによって，HDTVを含めた広い範囲の解像度で高い圧縮性能が得られることが確認されている。高い圧縮性能によって，映像蓄積時間の倍増や，低いビットレートでの映像伝送等の効果が期待されている。三菱電機はこの国際標準化作業に対して，技術面·運営面の両面から貢献した。このHEVCの圧縮性能を確認するとともに，高品質な符号化映像を得ることのできる符号化制御アルゴリズムの開発を目的に，リアルタイムにHDTV映像の符号化·復号処理が可能なコーデックシステムを開発した。このシステムを用いて様々な映像素材に対する主観評価実験を行った結果，H.264/AVCの半分のビットレートでほぼ同等の画質が得られることを確認した。