ロケット打上げ時の人工衛星音響振動評価システム

摘要

人工衛星を打ち上げる際，エンジンの噴射によって，ロケットには大きな振動と音が生じる。図1に示すように，ロケット先端のフェアリング内部に搭載された人工衛星は，ロケットの取付け部から伝わって来る振動と，空気を伝播（でんぱ）してくる音に晒（さら）される。近年の大型人工衛星の第一次固有振動数は30Hz以下であり，100Hzを超える高い周波数の振動は，振動伝達経路上で減衰してしまう。一方，数百Hz～数kHzに主成分を持つ音は取付け部から伝達するのではなく，あらゆる角度から10kHz以下の広い周波数帯域で人工衛星に作用する。また，その音圧レベルは人工衛星周りで130dB以上にも及び，人工衛星構体に大きな振動を発生させる。本稿では，このシステムの構成と概要，及びシステム開発を通じて構築された振動解析技術について述べる。