PKI技術への当社の取り組み

摘要

e－文書法の施行によって電子文書の保存が認められ，記名押印又は署名に代わりPKI (Public Key Infrastructure)技術に基づく電子署名を利用することで署名付きの文書の電子化が可能になった。 しかしPKIでは電子文書の保存期間中に署名用の電子証明書の有効期間が過ぎてしまうと，電子文書に対し行った電子署名の有効性を確認できなくなってしまうという問題を抱えている。 長期署名技術は，電子証明書の有効期間後も電子署名の有効性を保証する技術で，国際的な標準仕様として定義されている。 日本では日本工業標準調査会(JISC)で長期署名フォーマットのJIS化審議が行われ，また保健医療福祉情報システム工業会(JAHIS)で，医療文書の電子保存や電子署名についてガイドライン作成や規格検討が行われている。 三菱電機はJIS原案を作成した次世代電子商取引推進協議会(ECOM)やJAHISの委員会に参画し，長期署名フォーマットのプロファイル策定や相互運用性テストに参加してきた。 ECOM相互運用性テストでは当社が開発した長期署名ライブラリが合格し，JIS案長期署名プロファイルへの準拠性を確認できた。 さらに長期署名ライブラリを使用したMicrosoft Officeアドイン長期署名アプリケーションを試作し，Office上で長期署名フォーマットの構築や検証を実現した。 Office上で紙文書と同様の法的効力がある電子署名を行った電子文書の作成·保存ができ，紙や管理コスト，時間コストの削減が見込まれる。