電動パワーステアリングのアクティブステア技術

摘要

電動パワーステアリングシステム(Electric Power Steering: EPS)はドライバーの操舵負荷トルクをモータでアシストするシステムであり，経済性などの観点からその市場は急速に伸びている。また近年ではドライバーの操舵負荷をアシストするだけでなく，制御自由度の高さから，ドライバーがより安全に操縦できる安全性向上システムとしての展開が期待されている。 中でもタイヤのグリップカが低下する雪道などの滑りやすい路面では，ドライバーの誤ったハンドル操作によって車両が不安定になり最悪の場合スピンするような状況がある。 三菱電機は，EPSを単なるドライバーの操作をアシストするアクチュエータとしてではなく，操縦安定性と車両安定性を向上させるセンシング機能を持つものとして着目した。 世界に先駆けて，自動車の安定性に大きくかかわるタイヤに発生する路面反力トルクの推定を行いアシストトルク制御に用いることで，車両を安定化する技術の開発に成功した。 なお，開発した路面反力トルク推定技術は新たにセンサを追加することなく実現可能であり，EPSの制御ソフトウェアとして組み込まれ製品への適用を進めている。