静止衛星用標準バス'DS2000'のシステム技術

摘要

静止衛星用標準バス"DS2000"は，三菱電機が参画してきた宇宙航空研究開発機構（以下，JAXA）や無人宇宙実験システム研究開発機構（以下，USEF）の衛星開発プログラムやこれまでの国内外商用衛星·機器商談を通じて培ってきた技術を基に，商用衛星顧客のニーズにこたえる下記要素を踏まえて確立した静止衛星用標準バスである。DS2000は，JAXAの技術試験衛星VIII型(ETS-VIII)をベースとし，個々の要素技術については2002年に打ち上げられたJAXAのデータ中継技術衛星(DRTS)の実績，その他衛星の開発実績に基づいている。 商用衛星市場における顧客の衛星に対する要求は，以下の4項目に大別される。 （1）衛星の製造期間の短縮；（2）衛星の製造コストの低減；（3）品質，信頼性の確保；（4）運用安全性の確保。 DS2000は，この要求にこたえるため使用構成機器のメニュー化·標準化，構体系の軽量化，推進系構成の標準化，通信ミッション等のペイロード搭載エリアの拡張，高密度実装化，商用通信衛星用軽量アンテナの採用，インテグレーション手法の適用及び設計ツールの整備等を踏まえて商用市場向けに確立した静止衛星用標準バスである。本稿では，上記を実施した静止衛星用標準バスDS2000について述べる。当社は，このDS2000を擁して国内外の商用衛星市場で衛星事業を展開している。