携帯電話のモバイルカメラ技術

摘要

三菱電機では，携帯電話用（外付け）カメラを1999年に業界に先駆けて量産化して以来，種々の携帯電話用モバイルカメラ技術を開発してきた。 モバイルカメラを取り巻く環境も大きく変わりつつあり，通信レートに制限されていた画像サイズはリムーバブルメモリの搭載でデジタルスチルカメラ（DSC）同様の扱いが可能になり，撮影画像に対する高画質化の要望が高まり，特に画素数は急速に向上して2M画素記録に至った。 本稿では，当社携帯電話用カメラの高画質化·高機能化を支える①レンズ系·機構系技術，②カメラDSP（Digital Signal Processor）技術，及び⑨絵作り技術について述べる。 ①のレンズ系?機構系技術では，ピント無調整の光学系，業界初の4枚非球面プラスチックレンズ系の開発等の新たな技術提案について述べる。 ②のカメラDSP技術では，新たに開発された高性能画像処理エンジン"COLORIX"によって実現されたリアルタイムの最大20倍までのデジタルリニアズームや，多彩な撮影モード，FOMA（柱2）機種における24フレーム／秒の"なめらかモードに対応した撮像制御や，多様なフレームレートに対応したフリッカ低減処理技術について述べる。 また，最後の③絵作り技術としては，いかなるシーンでも使いやすく，高い描写力を実現するために，低輝度部では黒つぶれなく，中間輝度部では人の肌色が明るくなる特性とし，高輝度部では白飛びを抑えた階調特性設計を行うとともに，"記憶色"に基づいた色再現性を実現することで，肌色·草木の色を"キレイ"と感じる絵作り設計技術について説明する。