開閉極位相制御を利用した遮断器のCBM管理

摘要

電力機器の保守コストの低減が要求される中，CBM（Condition Based Maintenance：状態監視保全）管理が注目を集めている。 機器監視データのトレンドから，管理値に至るまでの時期を推定し中長期の保守計画に反映することで，ガス絶縁開閉装置のように信頼性の高い機器では保守時期の延長や更新時期延長時の機器の健全状態確認効果が期待されている。ガス絶縁開閉装置は，基本性能として，絶縁特性と通電特性が重要視されており，さらに，SF{sub}6ガスリーク特性を合わせてCBMの主要3項目とされている。 一方，ガス遮断器は機構部分が多いため，その他の項目管理も必要となっている。 開閉極位相制御装置は，ガス遮断器操作時の開閉サージを抑制するよう，最適なタイミングでガス遮断器に制御信号を出力する。 想定どおりのタイミングで動作するために，開閉極位相制御装置はガス遮断器の動作時間を正確に予測する必要がある。 ガス遮断器の開閉極時間は動作条件，開閉動作間隔で変化するため，開閉極位相制御装置に動作環境や開閉動作間隔による動作時間特性が組み込まれており，この特性を考慮して動作時間を予測している。 また，制御後には，各センサ信号を基に実動作時間を計測するとともに，動作環境や開閉動作間隔の特性を一定条件下での動作時間に換算し，そのトレンドを次回の開閉動作時の制御予測データとして保持している。 これらのデータは，CBMの観点からはガス遮断器の状態履歴そのものである。 これらのデータの活用により，開閉極位相制御装置は開閉サージ抑制による変電機器の延命効果と同時に，内部保有データの活用によりCBM管理効果も期待できる。