ワイヤ放電加工におけるワイヤ周りの電磁界解析の試み

摘要

本研究では，ワイヤ放電加工の加工特性向上のため，ワイヤ電極構造による加工速度，加工精度の違いに着目した．そして，ワイヤ周りの有限要素法解析と，加工機全体の等価回路計算とを連立させることで，同一電源電圧を用いた場合でもワイヤに作用する電磁力を解析できる手法を確立した．この手法を用いて，黄銅ワイヤと，鋼コアの周りに3μmの黄銅層をコーティングしたコーテッドワイヤの2種類を解析し，同一電源電圧を印加した時にワイヤを流れる電流，作用する電磁力，電磁力によって生じるワイヤ振動を算出した．また，解析手法の妥当性を示すため，ワイヤに電磁力のみを作用させた時に生じるワイヤ振動を測定し，解析結果との比較を行った．そして，電磁力により生じたワイヤ振動の点から，解析値と測定値で似た傾向を確認できた．しかし，ワイヤに流れる放電電流の点では，結果に違いが見られている．この改善のためには，加工機内部や配線部の等価回路をより正確にモデル化する必要があると考えられる．