複合材料の数値シミュレーション技術 5．均質化理論に基づく繊維強化複合材料の時間依存変形解析

摘要

このように均質化理論は，多くの複合材料の問題に利用されてきたが，構成相の粘塑性やクリープといった時間依存変形を考慮した解析は行われていなかった．しかし今日の複合材料は，その先端的用途から高温·高応力等の過酷な状況にさらされる可能性があり，そのような状況では，構成相（特に母材）の粘塑性変形やクリープ変形を考慮する必要がある．そこで著者らの研究グループでは，そのような時間依存変形を解析可能な均質化理論の開発を行いそれを繊維強化複合材料の弾一粘塑性解析やクリープ解析に適用してきた．本稿では，それらの事例をいくつか紹介することとし，これにより繊維強化複合材料の非弾性解析に対する均質化理論の適用性を知る機会となれば幸いである．なお，均質化理論とその周辺についてはテキストブックに詳しいので，本理論についてさらなる詳細を知りたい場合は，そちらを参照されたい．