土砂混在場におけるH-H継手を施した連結鋼管矢板の遮水性能に関する実験的検計

摘要

膨潤性止水材を接着したH-H継手を施した連結鋼管矢板遮水壁の遮水性に関しては，これまで実規模室内透水試験や現場遮水性試験等から定量的な検証を進めてきた．これにより，膨潤性止水材が接着されたH-H継手箇所が現場において打設·嵌合された場合，H-H継手フランジ炭合面（Fig.2参照）において土砂等の混入が避けられないことが明らかとなった．このため，膨潤性止水材が接着されたH-H継手を施した連結鋼管矢板が高い遮水性を発揮できることを実務領域で保証するためには，土砂が存在する条件下において膨潤性止水材の膨潤特性ならびに膨潤性止水材が接着されたH-H継手を施した連結鋼管矢板の遮水性能を定量的に検証する必要がある．なお，膨潤性止水材は合成樹脂エラストマーを母材とし，高吸収性ポリマー，充填剤および溶剤等を配合した流動性ならびに自己修復性を有する止水材である．また，膨潤性止水材の乾燥塗膜から抽出された水は水道法に基づく水質基準を満たし，環境に適合するものである．現状において使用頻度の高い膨潤性止水材の組成では，淡水および海水に浸漬すると，24時間後に重量比でそれぞれ15～30倍および5～7倍に膨潤する．本論文では，H-H継手フランジ嵌合面において膨潤性止水材および土砂が存在した状態におけるH-H継手を施した連結鋼管矢板の遮水性能ならびに膨潤性止水材の膨潤状況を実験的に評価する．