ズギ樹の気体透過性--生材丸太における心材·白線帯·辺材の気体透過性--

摘要

スギ白線帯は,その仮道管有縁壁孔対の閉そくにより透過性が低い、という概念が一般に認識されてきた。 しかしながら,美大材を用いてこれを定量的に検討した例はこれまでになかった。 　 そこで，本研究では，これまでのスギ白線滞に関する一般的概念が事実であるかどうかを検証するため，さらにスギ生材における心材·白線帯 ?辺材各部の気体透過性を実大材で比較検討する1ため，水銀マノメータに各部を接続した生材丸太を美空加圧缶内で減庄し，各部における内部庄力の経時変化を追跡した。 　 さらに，特定な材臥すなわち木口面やまさ日面（背割り面），あるいは丸太側面の開放 密封の条件を変えて実験を行うことにより，各部における軸方向，接線方向7　 および半径方向の透過性を比較検討した。 　 本研究で得られた結果は以下の通り。 （1）今回行ったすべての実験条件において，白線滞廊の圧力は実験開始直後から急激に低下しはじめるとともに．その低下適度は、心細乳辺材部と比較して明らかに大きかった。 すなわち，白線帯の透過性はきわめて高いということがわかった。 （2）心材では、生材含水率の高低にかかわらずIいずれの方向の透過性もきわめて低かった。 （3）白線帯では、軸方向．接線方向ともに透過性は高かった。 ただし，軸方向の方が接線方向よりも明らかに高かった．（4）辺材では,接線方向の方が半径方向よりも明らかに透過性が高かった。 （5）各部の透過性について、背割りの有無をもとに順位づけした場合，白線帯 ū掣瞍辘ⅳ辏┄R白線帯 ū掣瞍辘胜罚巨x材（背割りあり）?辺材（背割りなし）?心材（背割りあり，なし）であった。