ケナフ靭皮繊維の横断面積および単繊維強度の試験測定データ

摘要

本研究では，繊維強化プラスチック（FRP）の充填·強化材としての利用が期待されるケナフ靭皮繊維について，その繊維横断面観察と単繊維強度試験を実施し，さらに得られたデータを整理した結果，（1）ケナフ靭皮繊維の横断面形状は扁平なだ円か長方形に近い多角形であり，さらに自然にねじれていることが分かった。 また，ケナフ靭皮繊維の素繊維細胞と細胞間物質から構成される"メゾスケール内部構造"が示されるともに，繊維内で変動する実検断面積の内部平均および内部変動率がすべての試料に対して取得された。 （2）直交2方向側面幅から横断面積の代表値を推定する方法が提案さ紅全言式料に対してそれが評価された.（3）同一個体·同一箇所から採取されたケナフ勒皮繊状態）が大きく変動する"ブレンド繊維"母集団を形成していることが判明した．（4）ケナフ靭皮繊維のいくつかのゲージ長での単繊維強度データを得た。 また，本繊維強度にはゲージ長の増加とともにそれが低下していく傾向が認められた．（5）前項（4）の繊維強度データに2母数ワイプル分布を当てはめ，その母数を推定したところ，各ゲージ長毎には本繊維強度は実用上差し支えない程度には良く本分布に適合していることが示された．しかし仁異なるゲージ長間で異なる母数推定値が得られた．最後に，ケナフ靭皮繊維の横断面積測定/単繊維引張試験を手伝っていただいた，千葉工業大学学生（当時），宇都宮章二氏·岡村 健氏·城丸太一氏に感謝する。