電気分解強酸性水噴霧による作物病害防除に関する基礎研究（1）水素イオン濃度指数および遊離形有効塩素漉度がキュウリうどんこ病の発病抑制に及ぼす影響

摘要

電気分解強酸性水，すなわち水の電気分解装置の陽極側から得られる強酸性（pH2．7以下）の水を，作物栽培における殺菌や病害防除に利用しようとする試みが行われ，最近，その有効性を示すデータ（たとえば，Matsuoka，1996；Yamaki，1996；Iimoto et al．，1997）が報告されるようになってきた．これに伴い，電気分解強酸性水による作物病害防除のメカニズムの解明や，実用的な防除法の確立に対する要望が高まってきている．しかしながら，電気分解強酸性水による作物病害防除に関する研究データは，そのような要望に応え得るほどには蓄積されていない．最も基本的な課題である電気分解強酸性水による作物病害防除効果の主要な因子およびその因子の有効なレベルの特定に関する研究データでさえも不足している状況にある．またこの基本的な課題に取り組んだ数少ないこれまでの試験は，小容器内における培養菌の殺菌試験（たとえば，Matsuoka et al．，1994；Takahashi et al．，1994）のみであり，圃場あるいは栽培施設などの実際の作物栽培条件下における試験は行われていない．