ベンズイミダゾール系薬剤中等度耐性ナシ炭疫病菌［Colletotrichum gloeosporioides(Glomerella cingulata）］の発生

摘要

Colletotrichum gloeosporioides によるナシ（Pyrus spp.）炭疫病は，葉に発生すると最初に菓身や葉柄に直径0.5～1mm程度の小黒点を生じる．葉身上ではこれが拡大すると直径01．5～2cm程度の大型病：紅へと進展する病徴を示し，多発した場合には早期落葉するため，果実の糖度低下等を招く病害である（黒澤，1912；森田ほか，1994；落合ほか，1976）.高知県では，1987年頃から本病が発生したので，その対策を検討した結果，ベノミル水和剤およびチオファネートメチル、マンネブ水和剤の防除効果が高いことが明らかに．された（森田ほか，1994).その後，これらの薬剤が黒星病等との同時防除薬剤として使用されてきたために大きな被害はなかったが，1998年に再び炭疫病が多発生し，収穫前に落葉する被害が発生した．この原因として，本病の初発生時期が平年よりも早かったことから防除の遅れが考えられた．しかし一方，防除薬剤として使用されてきたべノミル水和剤およびチオファネートメチル-マンネブ水和剤の効果の低下が生産老から指摘され　 ベンズイミダゾール系薬剤に対する耐性菌の発生が疑われた．