フザリウム属菌および関連子嚢菌類の分類

摘要

フザリウム属菌は子嚢菌門，ボタンタケ目（Hypocreales）に所属する糸状菌類のアナモルフ（無性時代，体細胞分裂に基づく分生子時代）の一属で，現状では100を超す種（変種）が識別される大群である，形態的には，鎌型から円筒形で多隔壁の分生子がフィアライドと呼ばれる分生子形成細胞より連続的に生じることで特教づけられる．土壌，水環境等，生態系においても普遍的に検出されるが，植物病理学上では，農作物に対する多犯性かつ数多くの重要病害の要因として注目される．食品衛生上からも発ガン物質を含む重要なカビ毒（マイコトキシソ）産生菌として警戒され，医学分野では本属菌による真菌症も知られる．経済的に極めて重要な糸状菌であるが，その分類ほ極めて難しい分野として扱われてきた．糸状菌類のアナモルフの分類ほ，従来から不完全菌類としてテレオモルフ（有性時代）の分類とは別個に教われ，長らく培養下を含めた形態的特徴に多くの基礎が置かれてきた．フザリウム属菌の個々の種や菌株が示す高い変異性は分類の難易度を高める主要国であった．分類形質としての形態的特徴の解釈をめくり，学派問で様々な意見対立と競合の歴史が存在し，結果とーて現れる分析体系も大きく異なった．その影響は分類体系の実際の利用者である非分類研究者にも波及し，同－菌が異なった学名で呼ばれる等，混乱や困惑等をしばしば引き起こした．