学校及び社会における土壌教育I 1.我が国の土壌教育の現状と課題土壌教育委員会の活動30余年を振り返る

摘要

我が国は，世界第二次大戦後技術開発を基軸とした産業 構造を確立し，短期間に工業生産を飛躍的に増大させた. そして，人々は，生活圏を農山村部から都市部へと移動し， 製造業等に従事していった.やがて，石炭から石油に転換 するとともに生産高は上昇し，大量生産、大量消費社会がもたらされ，モノが溢れるようになつた.1964年にはォ リンピック，1970年には万博が開催された.その頃，新 幹線が走行し，高速道路が開通した.また，空港、港湾が 整備され，ホテルやデパートなどが建設された.さらに， 都市部に流入した人口増大を解消するため，里山は開発さ れ，各地にニュータウンが誕生した.一方，農山村部で は人n減少が続いた.70年代には高度経済成長が実現し， 人々は豊かな生活を享受した.しかし，工場からの煤煙や 有害廃液，自動車からの排気ガスなどが大量に排出され， 公害あるいは自然破壊、環境汚染問題が急浮上していった. 80年代に入ると，環境問題は地球的規模に拡大する傾向 が見られ，深刻さを増していった.このような中，日本土 壌肥料学会は1982年に土壌教育の普及啓発を目的として 土壤教育検討会を発足させた.その後，1983年には土壌 教育強化委員会，1984年には土壌教育委員会に改組され， 今日に至っている.