新方式の穿孔暗渠「カッティングドレーン工法」の開発

摘要

我が国では，農耕地に対する排水改良として暗渠排水の整備が年間20，000haで行われている，これら暗渠管などの資材を用いる従来の暗渠（以下，従来暗渠と記す．）は整備費用が高い．寒冷な気候で経営規模の大きい北海道では，冷湿害時の生産性を維持することが必要であるため，より安価で効果的な排水改良法が求められていた．これまでにも低コストな排水改良法には，資材を用いない工法である弾丸暗渠や心土破砕があった．弾丸暗渠は，土中に穿孔を構築する工法で，従来暗渠より低コストであるが，穿孔が崩落しやすかった．この問題を改善した工法としてトレンチャ掘削式穿孔暗渠2）3）（以下，トレンチャと記す．）が提案された．しかし，トレンチャは，畑地や草地に多く分布する台地土や黒ボク土で施工できないため，広範囲な土壌に適用でき，より低コストな排水改良法が望まれていた．