和歌山県田辺湾滝内及び内ノ浦の潮間帯に生育するコアマモZostera japonicaの年間純生産量と，C，N，Pの年間蓄積量

摘要

コアマモZostera japonicaは我が国を中心とする東アジアの固有種であり，分布はサハリンからベトナムの広い範囲に及ぶ。また，北米大陸では日本から持ち込まれた養殖マガキに伴って本種が移入され，カナダのブリティッシュ、コロンビア州からアメリカ合衆国オレゴン州に分布していることが知られている。 コアマモの生育場所ほ乾燥への耐性がアマモZostera marinaより優ることから，アマモの生育しない潮間帯付近のごく浅い場所での生育が可能であり，我が国における砂泥質の潮間帯の生物群集を構成する主要な大型植物となっている。 しかし，アマモでは生態や季節的消長に関する報告が多くなされているが，コアマモでは愛知県伊川津湾など少数の報告がみられる程度である。そこで，筆者は和歌山県田辺湾においてコアマモの現存量の推移など季節的消長に関して詳細な調査を行い，前報でその結果を報告した。