養殖魚におけるゼノバイオティツクスの比較薬理学的研究:平成15年度日本水産学会賞進歩賞受賞

摘要

高等動物の体内に入り込む物質のうち，その動物の体構成分でも栄養成分でもない物質は生体にとつては異物になる。 異物のうち，低分子の有機化合物で，脂溶性があり，薬理，毒性作用のある物質はゼノバイオティツクス（生体異物）と呼ばれている。 水産分野におけるゼノバイオテネックスには，水系媒介による工場汚染，農薬などや養殖場における水産用医薬品がある。 近年，我が国の水産養殖技術の発展により魚介類の集約的な高密度飼育が可能になり，水産養殖業の著しい発展がなされている。 これに伴い発生する種々の疾病を予防または治療するために数多くの水産用医薬品が用いられている。 水産用医薬品の投与は，魚介類の食品衛生面における魚体内残留のみならず過剰または過少投与による環境汚染，耐性菌の増加など種々の問題が生じてくる。 したがつて，水産用医薬品の有効性，安全性を考慮した適切な投薬法が必要となる。 本研究ほ，養殖魚に用いられる種々のゼノバイオティックスのうち，水産用医薬品（主として抗菌性物質）について比較薬理学的視点から行った。