身近な野菜、果物～その起源から生産、消費まで（1）: サツマイモ（I）

摘要

サツマイモの原産地はメキシコからペルーにかけての熱帯アメリカとされている。それはこの広大な地域のどこかで発祥したものだが，発祥地の特定はむずかしい。 メキシコ説，ペルー説，あるいは両地での同時起源説などが入り乱れているからである。 それでも発祥地の範囲はしぼれる。サツマイモは寒さに弱い。気温が15℃以下になると生育がとまってしまう。 地下のいもそのものも，地温が10℃を割ると傷みやすくなるからである。サツマイモの原産地はメソアメリカ高地から中央アンデス高地にかけての地域にあるが，ここは熱帯といっても標高差による気温差の大きいところである。低地は文字どおりの熱帯だが，高いところに上がるにつれて温帯となり，3，000m以上になると冷涼になる。小林仁氏はサツマイモの適地を低地から標高2，000mまで，最適地は500m前後のサバナ的気候の地とされている。