砂丘園芸の経営戦略と今後の方向Ⅰ．石川県砂丘地園芸の現状と試験研究成果

摘要

石川県の海岸線の総延長612kmのうち，60％に近い370kmが砂丘である。 なかでも、砂丘が特に発達しているのは福井県境の加賀市から能登南部の富来町にかけてであり延長90kmにわたって分布している。 総面積は約13，000haで，そのうち4，000ha余りが農地して利用されている。 本県における砂丘地帯での濃厚の歴史は古く，元禄時代にはすでにサツマイモ栽培の記録がある。 本格的な農地利用は大正時代からで，養蚕が当時の基幹産業であったことから桑が主力作物であった。 戦前には養毒業も姿を消し桑園がそ菜類に転換され，在来カボチャ，スイカ，ダイコン，キュウリ，ネギやサツマイモを主体とする野菜栽培が開始された。 昭和30年代半ばにはスプリンクラーによる大規模畑地潅漑施設が整備され，大型機械の導入，流通体制の近代化とあいまって砂丘地園芸は飛躍的に拡大した。 野菜においては，スイカ＋ダイコン体系と，輪作品目としてサツマイモという営農体系が確立し，今日に至っている。 また，園芸品目の共販金額ではスイカが第1位，ダイコンが第3位を占め，これらは石川県園芸の基幹品目であり京阪神市場における石川ブランドの牽引役となっている。