苗場山ブナ樹冠における光合成特性の空間変異とその季節変化

摘要

個葉レベルの生理生態情報をスケールアップして樹冠、群落レベルの光合成量を推定するためには、光合成特性の空間分布を正確に推定することが重要である。 そのためには、光合成特性と関連する環境要因、形態特性などを調べ、光合成特性を決定している要因を明確にする必要がある。 2002年に、樹冠を高さ、深さ方向、方位別に細かく分割し、光環境や光合成、形態特性、窒素含有量（N; g/m~2）などを測定し、その相互関係を解析した。 その結果、N、比葉重畳（LMA）と光合成特性の関係は方位によって大きく変異しているが、相対的な光環境（rPPFD）と光合成特性の関係は場所に関わらず高い相関があり、光合成特性はrPPFDによって推定できることがわかった。 2002年の実験は葉が充分に成熟した7月中旬にのみ葵施された。 生育期間を通して光合成量を推定するためには、このような実験を生育期問を通して実施する必要がある。 2003年では、樹冠内の光環境と光合成特性、N、LMAの空間分布を生育期間を通して軌定し、それらの相互関係が季節によってどのように変化するのかを調べた。