消雪時期が異なる林床におけるブナ稚樹の成長と定着

摘要

ブナは日本の冷温帯林を代表する極相種である。 雪の少ない場所では、ブナ稚樹ほ上層木よりも早く開葉することができて、この時期にある程度わ成長量を稼ぎ（1）、光条件の良い場所に稚横バンクが形成されていると考えられる、。しかし、ブナの分布の中心である東北地方の日本海側は豪雪地域であり、春先の遅い時期まで積雪が残る。 そのため、林床の稚樹よりも上層木が先に開葉してしまい（2）、春先の良好な光環境を利用できない。 このことは、豪雪地帯の稽樹にとってその後の生存に不利に働くと考える乃同一林分内において、消雪時期に差が生じて、ブナ稚樹の生育期間の長短に影響を及ぼすのなら、林内で消雪時期が早い場所の稚樹は消雪時期の遅い場所の稚樹に比べて、その後の成長、生存は有利であり、そのような場所に稚樹バンクは形成されると考えられる。そこで本研究では、1）林床の消雪が早い場所と遅い場所はどのような場所なのか、またその順序は毎年同じなのか2）消雪が早い場所の稚樹は早く開葉するのか3）早く開葉することは稚樹の成長と定着に有利か、の3点について明らかにすることを目的とした。