福井県における水稲の高温対策栽培技術

摘要

福井県は本州中央日本海側にあり、冬期間 は積雪を見るが夏季は高温で乾燥した気象条 件となる。このような環境下で、福井県農業 試験場では「ホウネンヮセ」や「コシヒカリ」を育成するなど60年以上前より水稲の品種 改良に努めてきた。イネの栽培慣行は、機械 移植が定着して以降、4月末から5月上旬に 移植して梅雨明けの7月下旬から8月上旬に かけて出穂する、高温条件で登熟する作型で あった。西日本は6月移植の普通期栽培で出 穂期も遅い作型が中心なので、福井県のイネ の作型はその頃より全国一の高温登熟環境で あった。そのような環境や栽培条件を背景と して、良質良食味米の生産を目標に「コシヒ 力リ」の多収穫や品質改善に取り組んできた。 しかし、近年の温暖化は30年前と比べて稲 作期間の平均気温を0.4°C高め、7、 8月に 限ればl.0 deg C高温年次では2.0°C上昇させて いる。本稿では、温暖化のイネへの影響を解 析するとともに、福井県の栽培技術対応を概 説したい。