早期栽培における株間の拡大が生育、収量に及ぼす影響 －育苗、苗運搬労力軽減のための水稲疎植栽培－

摘要

近年の水稲経営は，輸入自由化や米の価格の下落等に対処するため，一層の生産コストの低減が重要な課踵となっている．生産コスト低減のためには経営規模の拡大が不可欠であり，10ha～20ha規模の経営を行うとともに，ゆとりのある農業を酎旨す必要があるといわれている．筆者ら（川崎ら1998）は，さきに，西南暖地の水稲作における農作業の現状を解析し，田植え時期には多くの作業を短期間に行わねばならず，中でも育苗、苗運搬作業は米の生産に係る全作業時間の36％を占めており，これらの作業をいかに軽減させるかが重要な課題であることを指摘した．また，水稲の作型には極早生品種を用いた早期栽培と早生～晩生品種による普通期栽培があり，一般に，前者は4月中、下旬～6月上旬，後者は6月中、下旬に移植する作型で，両者を組合せることによって田植え期及び収穫期における作業が分散でき，大規模経営が可能になることを明らかにした．