サトイモ栽培における種イモとしての親いも利用が生育，収量に及ぼす影響

摘要

普通廃棄される親いもの有効利用の一つとして，親いもの種イモ利用の可能性について，従来の子いもを種イモとした場合と比較検討した．1）いも伏せ時の雁痛いものチェックおよび消毒の併用によって，親いもの病気の発生は抑えられた．2）定植後出芽までの日数は親いも区，子いも区ともにおよそ10日であった．定植後の葉の生長速度と生葉の葉色は常に親いも区が子いも区より濃かった．下葉の枯死は親いも区が子いも区より1週間早かった．3）親いも区，子いも区ともに乗数が最高に達した7月19日ごろより茎の肥大により，新しい親いもの形成が認められ，その後肥大が続いた．さらに，子いも，孫いも，曾孫いもの形成，肥大が進行した．子頭の形成は親いも区で多かった．4）親いも区の収量は1個当たりの子いも重と孫いも重が大であるとともに，孫いも形成数も多く，子いも区のそれのおよそ3倍となった．5）以上の結果より，親いもは種イモとして十分に利用できるものと考えられた．