水田の暗渠排水管内流れへの暗渠埋設深と埋設勾配の影響

摘要

粘質土地帯の水田の暗渠排水に関する1次元の定常モデルを構築して，暗渠排水管内流れへの暗渠埋設深と埋設勾配の影響を調べた．透水係数が大きい場合，全水頭が地表に至る事例もあり，その際には排水管への流入はその排水口付近に集中した（ただし，本論で扱った条件では地表面と湛水面は等しい）．全水頭が地表の少し下にある場合，埋設深を小さくしても，暗渠排水管が地表に近づいただけ全水頭が地表に近づくとは限らない．したがって，排水量の減少は生じるものの激変はしない．透水係数が小さいほど，管内の水圧は下がってゆき，暗渠排水管全体に層流状態が広がり，暗渠排水管への流入量の分布は一様に近づいた．下流端で同じ埋設深である場合には，小さい埋設勾配の方が大きい埋設勾配の結果よりも排水量が少し大きい場合がいくつか見られた．