間欠冷蔵処理による イチゴの花芽分化促進

摘要

イチゴは，他の農産物と比較して市場価格が安 定している上に軽量であるため人気の高い品目だが，栽培面積は1995年以降全国で毎年約1.7%ずつ 減少し続けている。他の品目と同様に生産者の高 齢化が最大の要因だが，草丈が低く腰をかがめて 行う収穫管理作業の労働負荷が大きいことやパイ プハウスの老朽化などもあって，歴史の長い産地 ほどリタイアする生産者が急激に増加している。 東日本大震災の被災地では，高設栽培を導入した 新規参入や規模拡大が盛んに行われている。しか し，デフレ経済の中でも各種資材費の価格は上昇 し続けており，規模拡大に向けた施設への投資額 は年々ふくらんでいる。そのため，被災地以外の 産地では高設栽培の普及も勢いを失いつつある。 一方で，パート雇用やパッケージセンターへの業 務委託など家族経営から企業的経営への移行が 徐々に進んではいるが，日本のイチゴ栽培は曲が り角にさしかかっているように思われる。とはい え，農業の生産性を高めて食料を自給することせ, 農業だけでなく日本全体を元気にするためには何 より重要であり，イチゴとて例外ではない。イチ ゴの栽培規模を拡大し，経営を安定させる上では， 定植から栽培管理，収穫，出荷までの一連の作業 量を平準化し，一時的な労働力不足を回避するこ とが，生産と販売の両面で特に重要だといえる。