生理生態特性からみたイチゴ栽培の現状と課題〔2〕 －品種の変遷と作型の分化－

摘要

1950年代以来のイチゴ生産は作型開発による収穫期の拡大と単収の増加によって発展してきたが，1980年代に促成栽培向けの‘女峰’，‘とよのか’が育成され，主要な作型が促成栽培に絞られるとともに，品種がイチゴの生産技術に占める役割が一段と高まった．表1にわが国の主要な品種の育成（品種登録）年次を示し，表2に大正時代から最近までの主要な栽培品種の変遷を示した．これからみると1920年代から50年代までは栽培品種はあまり変化せず，‘福羽’，‘幸玉’を除くとほとんどが導入品種であり，石垣栽培を中心とした促成栽培用の品種と露地栽培用の品種に大別されていた．1950年代以降，トンネルやハウスで栽培されるようになり，アメリカからの導入品種‘ダナー’と50年代後半から60年代にかけて育成された‘宝交早生’，‘はるのか’を用いて促成栽培や半促成栽培，抑制栽培といった各種の作型が開発され，次第にわが国の育成品種に置き換わっていった．