中国の新農村建設政策とその問題点 －内モンゴル自治区郡托克（オトク）前旗のモデル地域を事例に－

摘要

2006年に中国の社会主義新農村建設政策がスタートした．2007年3月でちょうど1年が経過した．わずか1年の間に，関連する政策は着実に実施され，多くの農民が政策の効果を実感している．中国政府が今年初めに公布した「1号文件」では再度，新農村建設を最優先課題とし，近代的農業の整備がその重点として提起したので，その関連措置実施が中国農民にさらに多くの実益と変化をもたらすことが期待されている．中国の各省では，モデル地域を選定して新農村建設を実践している．内モンゴル自治区の郡托克（オトク）前旗にも，1つのモデル地域が1地区設定された．ここでは郡托克（オトク）前旗が主体となって，新農村建設計画を策定し，村の長期発展計画としている．本稿では，まず中国の新農村建設が始めた最初1年の歩みを取り上げ，内モンゴル自治区顎托克（オトク）前旗のモデル地域への現地調査を基ついて，新農村建設政策によって生まれ変わりつつある村の実態とその成果などを指摘し，これからの村づくりの在り方と残された問題点を考察する．