2000年代南東ァラス力木材生産の縮小と今後の展望

摘要

アラスカは，1959年にようやく州に昇格した.し かしながら，先住民のひとびとの土地所有権の確立 とその正式な配分には，その後なお20年以上の年 月を必要とした.この間の経緯については，すでに 報告した.さらに，1990年代を通じて，木材生産 がその最盛期を経て衰退に向かった経過についても 検討した".1990年代の木材生産減少の原因のひとつとして， 1992年に森林局が採用したエコシステムマネジメ ント導入の影響があつた.森林局Forest Serviceの 森林生態系保全政策の強化にともなって，伐採可能 な森林域が制約されるようになり，太平洋岸北西部 地域の立木価格が上昇したのと並行して，アラスカ 州においても同様の傾向がみられた.その結果，も ともと生産費が国内の他州に比較して高かった南東 アラスカにおける木材生産量は急速に減少すること になった.このような経過を経て，1990年代中に は南東ァラス力から大手2社のパルプ工場が退出す ることとなり，このことが木材生産の縮小に拍車をかけることになつた.