「巨峰」に代表される 四倍体ブドウ品種と今後の育種

摘要

日本におけるブドウ栽培では、ここ10年の間に「巨峰」や「ピオ1ネ」といった四倍体ブドウ品種の生産が大きく増加した。「巨峰」は大井上康氏が193 7年に、「キヤンべルァーリー」の枝変わり四倍体である「石原早生」と、「口ザキ」の枝変わり四倍体である「センテニアル」とを交雑させて作出し1945年に発表されたものである。花振るい性が強いという難点があるが、「巨峰」に適した剪定ゃ房作りなどの技術が開発された結果生産量が增ぇ、現在日本で最も生産の多いブドウとなっている。また「ピオーネ」は井川秀雄氏が1957年に「巨峰」と「力ノンホールマスカット」(「マスカットォブァレキサンドリア」の四倍体)とを交雑して作出し、1973年に登録された品種である。一一倍体の中.小粒品種である「キヤンべルァーリー」や「デラウエァ」から、「巨峰」や「ピオーネ」への栽培品種の移り変わりから、消費者の二ーズが大粒で高品質なブドウにあると考えることができる。さらにこの2品種を含む多くの品種が種なし果実として栽培されるよ、つになってきており、種なし栽培可能なブドウが市場から要求されていると考えることができる。