ツキノヮグマ対策（2)

摘要

前回に引き続き、ツキノヮグマの行動特性から考えられる被害対策について述べる。前回の最後に、クマは油の匂いに誘引されるため、有機肥料の管理に関する注意を述べだが、同様に農業現場に多く存在する油である農機の燃料のガソリンや刈払機の混合油にも、クマは強く誘引される。クマが燃料等の揮発性の高い油に興味を示す理由は、科学的に明らかにされていない。しかし、被害現場を見る限り、クマは燃料をエサとは見なしておらず、嗜好ロのように感じているか、イノシシと同様に匂いの強い物を力ラダに擦り付けることによる虫よけ効果を期待しての行動であると考えられる。燃料缶の被害はもちろんであるが、燃料の入った刈払機は被害に遭うことが多く、クマが執拗にもてあそぶため、軸が曲がったりェンジン部分を破壊される等の修理不能の状態になる場合もある。また、燃料を屋外に保管したり、林縁等のクマの生活圏で草刈りをして刈払機をその場に放置することはクマを誘引することに繫がり、農作物被害や人身被害を助長することになる。