キャベツの生理生者と栽培技術（4）: 苗の生理生態と育苗

摘要

地床育苗では仮植を行う場合（仮植育苗）と行わない場合（無仮植育苗）がある（字井、福地、根本、1997）。 仮植の有無によって苗の根の形態と地上部の外観が大きく異なる。 ①仮構と育苗時の椒系発達: 仮植を行わない場合の根系と行った場合の根系の模式図を図1に示した。 仮植を行わない場合は、直根が兵っすぐに伸び直根を主体とした板系となるのに対し、仮植した場合は、仮構によって断祝した根から多数の細板が伸びた板系となる。 2つの根系の特徴について、無仮植苗は少分枝型の根系、仮植苗は多分枝型の板系と表現できよう。 多分枝塑の板系の方が採苗の際に断赦して失われる根の量が少ないため、結果として定植後の過度な植え傷みを避けることができ活着がスムーズに進むと考えられる。 ②仮植とストレス耐性: 仮植を行うと、仮植時の断板により一時的に地上部に水ストレスがかかり、全体的に苗がコンパクトで、葉は小さく肉厚で、葉の表面に白いワックス（クチタラワックス）が多く認められるようになる（写真1）。 クチタラワックス量の増加はクチクラ蒸散を減少させ、葉の小型化による菜面積の減少と相まって、定植直後の苗の蒸散量が抑制されることで、定植後の水ストレスによる植え傷みが生じにくい苗となる。