瀬戸内海における海を越えたィノシシの生息拡大プロセス一愛媛県松山市全有人島を対象とした聞き取り調査に基づく考察一

摘要

我が国では，イノシシ(Sus scrofa)による農地の損 壊や農作物の食害が深刻となっており，被害は近年，島 *1にも及ぶ''21。海は陸生生物の分散（dispersal)を妨 げる障壁として長期にわたり機能した3'力《，現在，瀬戸 内海の島にはイノシシが移入（immigration)している'。しかし.瀬戸内地域以外の特定の島のイノシシは人 為的移入個体の定着である可能性が明らかにされる5)も のの，現状では，我が国における島へのイノシシの生 息拡大（habitat expansion)プロセスには不明な点が多 く残る。そこで.本研究は，愛媛県松山市の島魄を対象に. 全有人島での聞き取り調査から，瀬戸内海における海を 越えたイノシシの生息拡大プロセスを明らかにする。