病気に強い牛はどうつくるのか

摘要

現在，黒毛和種繁殖農家の減少に伴う黒毛和種子牛の生 産頭数減少などにより，黒毛和種子牛の市場価格が高騰し ており，黒毛和種肥育農家の経営を圧迫している。みやぎ総合家畜市場における平均子牛価格は，平成25年1月では 去勢49万8,713円，雌41万4,777円,平成27年12月では 去勢81万4,044円，雌72万8，285円であり，3年間で去 勢,雌ともに30万円以上上昇している。この子牛価格の高 騰は.肥育農家にとって生産経費の上昇に直結しており， たとえ1頭であっても，導入後の疾病などによる死廃事故 や，その後の生産性が低下するようなことがあれば，肥育 農家の経営に大きな悪影響を与える。肥育農場に導入後発 症しやすい疾病は，肺炎などの呼吸器感染症および胃腸炎 などであり，子牛の免疫力の低下が大きな要因となってい る。そのため，黒毛和種繁殖農家では，生産物である子牛 の消費者ともいえる肥育農家に対する消費者対策として， 健康で抗病性（免疫力）の高い子牛を生産する必要がある。 そこで本稿では，免疫力の高い子牛を生産するために， 黒毛和種繁殖農家に対して我々獣医師が指導するボイント を紹介する。