病理診断2 (病理組織検査)

摘要

脳の組織構築は非常に複雑であり，部位によつて様々で ある。中枢神経組織内には神経路が形成されており，高次 機能を営む中枢組織(神経核など）は局在して存在する。中 枢神経自体がかなりの大きさを持つ組織であるため，すべ ての領域を網羅するように病理組織切片を作製することは 莫大な労力を必要とするため，非現実的な検査方法である。 また，前回の連載でも記載したように，神経疾患のなかに は肉眼的に異常が検出可能な疾患，組織検索によってはじ めて病変が検出可能な疾患，さらには組織検索を行っても はっきりとした病変が検出できない病態がある。したがつ て，神経疾患を正確に診断するためには，臨床的にどの部 位に病変が存在するのかをできる限り正確に予測するとと もに，同部の解剖学的な存在位置，主な神経路の走行を考 慮し，相応部位を正確に病理検査することが必要となる。