牛の内科実習110 子牛の先天性中枢神経形成異常

摘要

子牛で中枢神経症状を呈する疾患は，先天性と後天性の ものに大別される。先天性のものには，中枢神経系の形成 異常（遺伝性，感染性，その他の発生異常）と中枢神経以 外の発生異常(門脈体循環シャントなど）が含まれる。一方， 後天性の中枢神経異常としては，中枢神経系への細菌感染 による脳炎，髄膜炎，膿瘍形成，あるいは難産による低酸 素症が代表的な疾患である。先天性の中枢神経異常の特徴 のひとつとして，生時より異常がみられることが挙げられ る。今回，生時より起立不能であった子牛において，運動 失調，後弓反張，頭部振戦等の症状が認められたホルスタ イン種子牛の1症例に遭遇した。この症例をもとに，子牛 における中枢神経形成異常について，その一端を解説する。