牛における抗炎症薬の薬理（その1）-牛における有用性－

摘要

産業動物の診療に抗菌性薬剤は欠かせない。 しかし抗菌製剤だけでは治癒も遅れるし，抗菌薬の使用量が増えて，耐性菌発現につながる。 肺炎でも下痢でも乳房炎でも抗菌製剤だけというのは考えものである。 疾病の始まりは炎症だから，もっと抗炎症薬をうまく使ったら治癒が速まり，抗菌薬の使用量も減るであろう。 事実最近では，乳房炎治療には副腎皮質ステロイドが抗菌薬とともに使われているようだし，アメリカでは非ステロイド系抗炎症薬（NSAIDs）の使用が常識的になっている。 肺炎でもその考え方が強くなってきた。 今回は牛での抗炎症薬の使用について述べる。