ヒトおよび鶏由来Campylobacter菌株を感染させた鶏胚腸管初代培養細胞におけるサイトカイン反応および菌の病原性関連遺伝子の発現

摘要

Campylobacter jenjuniは，家畜ととトを含む温血動物宿主の腸管粘膜に定着する。 これらの宿主の間で，恵まれた環境は鶏を含む鳥類の腸管であるようで，そこでは発育に最適な温度条件が与えられる。 その温度とは42℃である。 ヒトでの定着と異なり，C. jejuniはほとんどの哺乳類や鳥類の腸管にほとんどあるいは全く病原性を示すことなく高レベルに定着する。 このヒトと鳥類の間の病原性の違いは，宿主の免疫システムに部分的に関与しているだろう。 サイトカインは，細菌性病原体に対する効果的な免疫の発達の中枢である。 過去の研究では，C. jejuniはヒト由来腸管細胞に侵入でき，感染実験の間にいくらかのサイトカインおよびケモカインの産生を誘導した。これは臨床上のカンピロバクター感染症においても同様である。 一般的に，サイトカイン反応はヒト由来細胞系で主にモニターされており，鶏由来細胞では数えるほどしか研究は行われておらず，鶏由来のC. jejuniを用いた研究は行われていない。 さらに，実験的定着試験から，鶏腸管を通過することによりC永由元の定着能力および毒力が強化されることが示され，鳥類の腸管で行われている相互作用をより自然に近い状態にするために鶏由来のC永由元を用いることは重要であることを示唆した。 それゆえ，我々は鶏胚腸管初代細胞（CEICs）をモデルとして用い，ヒトおよび鶏由来のC. jeuni株によって誘発されるサイトカイン反応と，それに伴って起こるC. jejuniの毒力関連遺伝子の発現を比較した。