7～8月における果実の施肥管理について

摘要

夏秋芽の発生は成熟に悪い影響を与えます。 盛夏の頃から秋にかけて伸びる芽を，夏秋芽又は土用芽などと言って，翌年花も実もつけてくれない徒長枝になります。 このような枝の発生が何故私たちの栽培の目的に役立たないかというと，それは夏秋芽の発生をもたらす樹の内部の栄養のあり方がまずいからです。 夏秋芽の盛んに伸びるような樹の枝は成熟が悪い。 したがって秋になってもなかなか固まらないし，又，果実の色着きも悪いのが普通です。 例えば甘柿は渋ぬけが悪いとか，ブドウやミカンは酸味が強いなど，果実の品質を非常に悪くするほか，冬期の寒害を受け易くしたり，翌年の萌芽，生長，開花，結実にまで影響を与えるものであることを考えますと，夏秋芽の発生をもたらした樹全体の栄養のあり方を研究することが如何に大切であるかということがわかります。 私たちは樹の内部の栄養のあり方を知るのに，いちいち分析をしなくても，外部にあらわれた形体的変化を捕えることによって炭水化物Cが多いか，含窒素有機物Nが多いかを判断することが出来ます。