飼料生産作業中の事故事例と予防策

摘要

農業は就業者10万人当たりの死亡事故件数が建築業を抜き、今やわが国で最も危険な産業となっている。しかも、35年前の約2倍、農業機械による死亡 事故に限れば約3倍に増えており、農作業事故に遭 う確率は年々高まっている（図、2010農業センサス および農林水産省農作業死亡事故調査より作図)。酪農用機械による事故および牛との接触による事 故について調査把握している北海道では、北海道 農作業安全運動推進本部に報告されているだけで毎 年約2， 500件の農作業事故が発生しており、報告され た2004approx13年に発生した農作業事故2万5， 432件の うち、飼料作用機械による事故は180件（0.7%)、牛 (肉牛を含む）との接触による事故は6， 552件（25.8 %)であった。牛との接触による事故は、農業機械 による事故より多いにもかかわらず関心が低いこと が懸念されるが、これについては別稿に譲る。飼料 作用機械による事故は数が少ないことから認知度は 低いが、実際に被害者の人たちに話をうかがうと、 看過できない問題であることが明らかになった。